理事長 秦 順一

SUCCESSは、若い世代のがんに関して、患者さんとご家族の支援、新しい診断・治療方法の開発などを展開する目的で設立されました。その後、がん以外の難病や、様々な困難と向き合う青少年のサポートの取り組みも進めています。

本法人の特徴は、患者家族、市民、医療関係者、ビジネスパーソン、行政の各界で働いている方が会員や役員となっていることです。異なる専門性をもった人材によって構成されていることで、狭義の「医療」「福祉」を超えて、若い世代を取り巻く多くの問題点を市民に知らせ、支援を包括的に幅広く展開できると考えています。

若い世代の疾病には、成人の疾病にはない多くの特徴があります。従って、治療を行う上では専門的な知識や経験が不可欠ですが、わが国では、どこにいても同じ質の医療が受けられるという体制にはなっていませんでした。この点に留意し、最近は標準的な治療や集学的治療法を統一して行う研究が広く行われつつあります。本法人は、このような事業に対して支援を行っています。れによって、日常の診療で多忙な医療関係者の負担も軽減されるからです。

現在、小児がんと診断される患者は年間2,000名強を数えますが、成人のがんに比べるとはるかに数が少ないこともあり、小児がんそのものや、小児がんを克服した人々への理解が十分ではありません。そして、704の小児慢性特定疾患で推定150,000名以上の患者がいるとされていますが、生活習慣病など成人の疾病よりもはるかに数が少ないこともあり、社会の理解は十分ではありません。したがって、広く理解が深まるような 啓発事業にも力を入れてまいります。自立した生活が行えるように、個々のケースに対しても、共に考え、コミットをしたいと考えています。

皆様のご協力を切にお願い申し上げます。

特定非営利活動法人
サクセスみらい科学機構
創設者 秦 順一

小児がんとは

小児がんを含む、若い世代のがんの治療環境向上に取り組んでいます

小児がんの種類

小児がんは、小児期、すなわち15歳以下の子どもに発生する悪性腫瘍と定義されます。

国際小児がん分類によると、主分類で12種類、小分類で47種類に分類される雑多な癌種で、約3分の1が白血病、残りが固形がんといわれる 固まりを形成する「がん」です。

小児固形がんの半分近くが脳腫瘍で、脳腫瘍の中でも様々な種類のものがありますが、成人の脳腫瘍とは違う種類のものも多くあります。 また、小児固形がんの残りの半分にも実にさまざまな種類の腫瘍が含まれています。

小児固形がんでは、成人に多い上皮性の「癌」は少なく、ほとんどが「肉腫」です。 胃癌や肺癌は、それぞれ胃と肺にしか発生しませんが、肉腫の発生母地となる組織は体中至る所に存在するために、小児の固形がんは体中の どこからでも発生するのが特徴です。そのため、発生臓器別ではなく、病理組織学的に名付けられています。

国際小児がん分類の主分類12種類を表に示します。

国際小児がん分類

白血病や悪性リンパ腫は、抗がん剤がよく効く腫瘍であるために、治療は抗がん剤のみで行われることがほとんどです。 一方で、ほとんどすべての種類の固形がんも、抗がん剤治療が有効ですが、治癒を目指すためには手術による腫瘍摘出が 必要になります。また、浸潤傾向が強い腫瘍や、手術で十分に取りきれないような部位の腫瘍の場合は、放射線治療も加えて 治療を行います。

また、化学療法の強度、手術による腫瘍の摘出度合、放射線治療の強度および範囲は、腫瘍の制御率と治癒率に密接に 関連しますが、将来のある小児がん患者の治療選択においては、内分泌障害、将来の成長・発達、二次がん、など、 いわゆる晩期障害への配慮も重視されます。