コラム

Vol.2 Connect you and the world, enhance you and the globe      〜少年の志は実現する〜(World Link 山中翔大郎さん)

  • カテゴリ:コラム
  • 投稿日:2013.11.10

SUCCESSコラム第2号は、
米系金融機関に勤めながら難民支援プロジェクト「WorldLink」を立ち上げ、
シリア難民の支援などに精力的に取り組んでいる
山中翔大郎さん(26歳)に執筆をいただきました。

 

山中さんの取り組みは「The Japan Times」などでも紹介されるなど、
新しい国際貢献の手法として各所で注目されています。
SUCCESSにも足を運んでくださり、常に盛り上げてくださっています。
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世界に貢献するための道は無数にある。
研究者、ジャーナリスト、国際協力機関職員、シンクタンク職員、国際NGO職員の進路を選び、
世界に関わることはできる。

 

しかし自らが選択する段になるとスムーズにいかないことが多い。
公共性の高そうな組織に属したとしても、日々の業務に忙殺されるなかで、
その「公共性」を実感できないこともあるし、
配属先によってはまったく世界とつながりようもない業務に従事することになる。

 

雇用の多様化が進んできているとはいえ、企業に所属して働くことが一般的である。
収入や待遇など、安定した暮らしや人材マーケットでの価値の向上を考えると、
「困難な立場に置かれている人を救いたい」という気持ちだけで国際NGOなどに飛び込むのは、
心理的にも金銭的にもハードルが高い。

 

そのなかで僕は第三の道を選んでいる。
本業では生活の確立や自分の専門性の向上を目指し、就業後や週末に国際協力の組織を運営する。
既存のサークル組織に身を置いて関心のあることに従事するというだけでなく、
自分自身が世界にとって必要だと思う事業を創り出し、自分たちでプロジェクトを創業し、
「世界を変える」ことに取り組んでいる。

 

それがWorldLinkというプロジェクトである。
FacebookとSkypeを使って、先進国と現地を直接結び付ける。
クラウドワーキング、マイクロワークを応用した難民支援のプロジェクトである。
誰にでも使える情報通信手段で世界中と繋がることができ、
自分たちのペースで、持続的に世界に価値を生み出すことができる。
初期投資や維持管理コストを最小に抑えたまま、持続的な社会貢献が可能である。

 

誰しも、世界のどこかで困っている人たちの役に立ちたいと考える。
その考えは、以前の時代よりも、気軽に実現できる。
現代の国際協力とは、電車でお年寄りに席を譲ることとさほど変わらない。
僕がシリアの問題に対して何かをすることができるのも、こうした時代と技術の助けがあるからだ。

 

大人になるということは、人生の選択肢の減少を嘆くことではなく、
限られた選択肢の中でベストを実行することを意味する。
学生の頃に抱いた志は諦めるためではなく、実現するために存在するのである。
人生の選択肢は、会社の奴隷かスピンアウトかという二方向だけではない。
無いものは自分で生みだせる世界になったことに感謝し、この気付きを熱い志を持つ多くの人たち、
仲間たちと共有し、今後も絶えず歩んでいきたい。

 

 

<プロフィール>
1986年生まれ。26歳。一橋大学大学院社会学研究科修了、米系金融機関勤務。
学生時代にはマニラの女性移民支援NGO、国連広報センターでインターンシップとして勤務。
本業の傍ら2013年2月、最先端のICTビジネス・技術と緊急・人道支援を結び付けたいと思い
WorldLinkを設立し、代表を務める。
朝日新聞WEBRONZA「政策男子部」部員。