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「四年後の世界へ」 青少年作文コンクールの結果を報告いたします

昨年8月から10月にかけて実施していました青少年作文コンクール「チャレンジ2020!!プロジェクト」の審査が終わりましたので、結果をご報告いたします。

 

応募総数53作品のうち、最優秀賞は、埼玉県に住む中学3年生の嶋菜々美さん(15歳)による「四年後の世界へ」に決定しました。日本の自然や四季がもつ美しさを守り育て、世界に伝えることの大切さを指摘している嶋さんの着眼点と、卓越した文章表現に、審査会で高い評価が集まりました。

嶋さんからは「賞を励みにして、今後の活動も頑張っていきたい」とのコメントをいただいています。

 

優秀賞には鹿児島県に住む小学5年生、新潟県に住む高校1年生の2名の作品が選定、努力賞には6作品が選定されました。

 

2017年のコンクール開催につきましては、現在、企画検討しています。決定しましたら本ウェブサイト上で告知をいたします。

 

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平成28年 青少年作文コンクール「チャレンジ2020!!プロジェクト」

 

<募集テーマ>

  • わたしが世界にアピールしたい日本のこと』
  • 『わたしがつくりたい町』

 

<募集期間>

平成28年8月10日(水)~10月31日(月)到着分

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<最優秀作品:嶋菜々美さん「四年後の世界へ」>

 

四年後の未来には、どのような景色が見られるのだろう。四年に一度のスポーツの祭典を観に、世界中の人々が一斉に日本という島国に訪れる。私たち日本人は、世界にどんな「日本」を伝えられるか。武道や食文化、歌舞伎に着物などと挙げ始めたらきりがない。それだけ日本には、世界から注目される魅力があると私は思う。しかし、私は、日本の景色・空を世界にアピールしたい。

 

私は小学校の頃、約三年間中国の広州に住んでいた。広州は、沢山の高層ビルが競うように空に向かって伸び上る経済都市だ。高層ビルの窓ガラス達が反射しあって生まれた広州の夕日は、今でも思い浮かぶ。だが、この空はどこか人工的だった。日本に帰国した時、日本の空がきれいな事に初めて気付いた。いや、気付かされた。生まれて十五年、日本で暮らしていてそのことに気付くことはなかった。観光地の空ではなくていい。今、私たちが歩いているすぐ真上、顔を少し上に向けるだけで見ることができる、自分自身が見慣れた空でいい。身近にある空が美しいことに気付いた人は、何人いるのだろう。

 

私は、特に電車の窓から見る景色が好きだ。

 

心まで清々しくなる真っ青な空と眠気を誘う春風にゆれる愛らしい花。青とオレンジのグラデーションがかった夏の夕焼けは、夏から秋に近づくにつれ切なさを感じさせる。日が暮れるのが早くなり、思わず手を伸ばしたくなる真っ白で大きな月は、秋の虫の音と共に見るとなお、美しい。日が昇るのが遅くなり、ビルの群れから顔をのぞかせる冬の朝日は、キラキラと輝いていて、目が一気に覚める。日本の空は美しい。そして、四季があることによって、日本の空に表情が生まれる。

 

日本の四季は、この空を見るためにあるものだと私は思う。しかし、最近四季という四つの季節のバランスが崩れ始めている。それは、日本だけでなく、世界にも言えることだろう。地球温暖化や異常気象などによって、日本の四季が失われるのは惜しい。一度失ってしまったら二度と日本の美しい空を見ることはできないだろう。それは、他国でも同じことではないのか。きっと自分の愛する国の見慣れた景色が、空が、変わってしまったら寂しい、嫌だと私と同じ様に思う人は、この世界に沢山いるのではないか。今は気づかないだけで、変わってから気づいても、もう遅いのだ。

 

四年後の日本は、どのような国になっているのだろう。日本を代表する和食や武道、芸術などが沢山注目されると思う。しかし、私は日本の四季を、空の美しさを、世界に伝えたい。日本人が昔から関わってきた四季と景色こそ、日本の代名詞にふさわしい。だから、世界中の人々には、一瞬一瞬の日本の景色を味わって見てほしい。そこで、心に残る素敵な日本の景色に出会えたらいいと思う。

 

/以上