Vol.4 幸せを思う連携(前田佳代さん)
- カテゴリ:コラム
- 投稿日:2014.01.31
SUCCESSコラム第4号は、
横浜市にある日本キリスト教団附属田園江田幼稚園で預かり保育担当をしている
前田佳代さん(50歳)に執筆をいただきました。
前田さんをはじめ田園江田教会や幼稚園のご関係の皆様は、
地域の様々な課題の解決に自発的に取り組んでいます。
そのなかでレモネードスタンド開催を通したチャリティーによりこどもたちを支援していることから、
SUCCESSとのつながりが生まれました。
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「ボランティアマニア」
私の通う教会の若い牧師が、私のことをそう呼ぶ。
マニアという意識ではないけれど、なぜか私の周囲には、私を「ボランティア」にかき立てる状況がある。
娘たちが通った小・中学校では、図書館整備の充実を願って「図書ボランティア」を立ち上げた。
活動のなかで図書館の充実のための予算を獲得することができ、循環学校司書も配置された。
転勤先でも同様に整備。娘たちの卒業後も通い、現在14年目。
小学校での「朝の体力向上プロジェクト」の呼びかけにも応えた。
朝7時からグランドでライン引き、マイクを握って200人近い子どもたちと運動。これは5年目。
親子劇場の代表にもなり、市長、地域の大人、商店街、学生を巻き込んだ。
横浜市藤が丘地区センター(http://藤が丘地区センター.com/)では、小学生の自立を願った、
おやつ作りや縫い物の講習会。
所属する「全国友の会」(http://www.zentomo.jp/)の行事には講師としてお手伝い。
おやつのレシピを工夫し、娘たちは、試作品を延々食べる羽目になる。友の会の皆さんと始めて、これも5年目。
所属する田園江田教会(http://www.edakyoukai.net/index.html)での教会活動のひとつ、
ジュニアチャーチ(昔の教会学校)での中高生の集まり「わかえだグループ」の運営にも時間を割く。
プログラム作り・メッセージ・子どもたちと学校間の連絡、勉強会・・・。
週一日ではあるが、日本聖書神学校のリーダー養成講座にも行っている。
仕事・家事・育児の合間にある、さまざまな活動にバタバタしているように見える様子が、
牧師に「ボランティアマニア」と呼ばれてしまう理由。
きっかけは、教員時代に様々な立場や環境の子どもたちがいることを知り、
「子どもたちに、家庭・学校以外の第三の居場所を作りたい」と思ったからだった。
自ら動き、そして仲間と一緒に組織だって動きだすと、付随する活動が次々と起きる。
昨年実現した「横浜市立小中学校に学校図書館司書配置」運動は、
集会、先行研究、事例発表、地域の保護者や議員へ呼びかける必要があった。
心の折れることもあったが、多くの方に手を差し伸べられたりもした。結局6年掛かった。
本格的に活動に取り組むと、さまざまな人たちとの意見調整が必要になってくるが、
働きかければ連携もスムーズに進む。
移転した大都市で活動に参加した当初は、人の多さや問題の複雑さを前に無力感を感じた。
「せめて自宅と職場の距離、半径3キロが幸せになればいい」と思いながら活動をしていた。
5年前、イースター礼拝で、ある方が「アレックスのレモネード」の話をした。
難病の子どもたちの薬を作るお金を集めようと、レモネードスタンドを開いたアメリカの少女の話だった。
彼女の活動は多くの人と心を動かし、全米中に広がった。
この話に、「自分たちに何ができるのか」という問いかけが始まり、
えだ教会まつりで毎年レモネードスタンドを出すきっかけになった。
実際にすぐには好転しなくても、何らかの変化は起きるはず。
やってみたら、素敵な出会いもいっぱいあったし、本当に励まされた。
「ボランティア」ってなんだろう。
いろんな定義があると思う。
今、長女は「Teach For Japan」で、
困難を抱える子どもたちのための寺子屋「Learning For All」で、
次女は「YMCA」でリーダーとなり子どもたちの成長を支えている。
自分にできることを、できる範囲で、まず動く。
やがて活動量は増え、人間関係も多様になり、それで苦労することもあるかもしれないが、
「幸せを思う連携」は広がり、社会を変える動きになっていく。
子どもたちと関わるなかで、この思いを大事にしたい。
<プロフィール>
前田佳代(まえだかよ)
1964年生まれの50歳。高知大学教育学部卒業後、高知県公立中学校教諭(保健体育)。
以後、夫の転勤に同行し岐阜・静岡・北海道・宮崎に住み、現在は横浜に在住。
日本キリスト教団附属田園江田幼稚園で預かり保育を担当。大3、大1、高1の娘がいる。